カテゴリー:自動売買の小ネタ

VPSその後

2012年3月14日(水)

これまでずっと自宅のPCでシステムトレードを稼動してきました。自動売買や実際の注文もそうです。ほぼトラブルなくやってきたのですがパソコンを起動しっぱなしというのがどうも気にいらなかったのです。

それと外出時にリモートで接続するにもあまり良い条件ではなかった(ディスプレイが大きい&多い)ので今年からVPSに移行しました。ほとんどのアプリがちゃんと動くんですね。

VPSに移行するという記事を書いてから1~2ヶ月。225もFXもすべてVPSに移行が完了し動作も問題ありません。

心配していたVPSのサーバダウンも今のところ起きていません。まぁこういうのは油断していると起きてしまうので、監視とトラブル時の対策もしっかりやりたいですね。

接続するソフトはWindows搭載のリモートデスクトップを長く使ってきましたが、機能面ではTeamViewerが良いみたいです。スマートフォンにも対応。ユーザの方に教えて頂きました。

システムトレードのサービスも最近は、証券・FX会社提供のサーバ稼働が広まりつつあるようです。システムトレーダーも、完全おまかせ派と、設定等自分でやる派に分かれるでしょうね。

拙作システムもFX会社、証券会社数社に採用頂いておりまして、順調に稼働中です。


ランダムエントリーで勝てるのか(1)

2009年12月25日(金)

日経225の売買で、過去のデータを一切参照することなく 売り or 買いを毎日ランダムに行うとします。

このランダムエントリーで長期的に利益が残せるか、というのが今回のテーマです。

結論から言うと、エグジットルール次第で利益を残しやすいシステムを作るのは可能だと思われます。しかし実売買ではコスト負けします。

検証結果から導いた結論でなぜそうなるのかについてはいくつかの仮説が出てきます。それは最後に触れるとして、まずはシミュレーションの具体的な内容を書いていきましょう。

1)毎日9:30にランダムにエントリーを行う

直前の動きなど一切関係なく、コイン投げによって、その日が買いか売りかを決めるとします。

時刻にあまり意味はありませんが、エントリー時刻は9:30としました。

2)エグジットは損小利大のルールで行う

エグジットでは損は小さく、利益は大きくなるようにします。目標とする利益の大きさは固定せずにいわゆるトレーリングストップ方式とします。損切りは、ボラティリティによって変化させますが、利益に比べて損失が小さくなるようにします。シミュレーションでは、当サイトで使っているシステムのエグジットロジックを一部変更して用いました。

3)シミュレーション条件

期間: 2007/1/1~2009/12/24 5分足

売買回数: 730回 (1日1回売買のデイトレード、夕場への持ち越しあり)

試行回数: 200回 x 2

約3年間の5分足のチャートで、730回のランダムなエントリーが発生します。この試行を200回繰り返します<試行A>。

さらに、エントリーの売りと買いを、全く逆にして、同じ乱数で200回繰り返します<試行B>。

【結果】

<試行A>

総損益:最大7955 平均2408.4 最小-2645

勝率:最大45.34% 平均41.42% 最小37.17%

平均損益比: 最大1.77 平均1.49 最小1.36

P/F:最大1.41 平均1.12 最小0.88

総損益プラスvs総損益マイナス: 172回 vs  28回 (200回試行)

<試行B>

総損益:最大7685 平均2649.4 最小-2930

勝率:最大46.03% 平均41.67% 最小37.67%

平均損益比: 最大1.73 平均1.49 最小1.23

P/F:最大1.38 平均1.13 最小0.87

総損益プラスvs総損益マイナス: 171回 vs 28回 1引分 (200回試行)

【考察】

乱数に偏りがあって勝ち or 負けのどちらかが多くなっているとすれば、試行Aと試行Bの結果が異なるはず(同じ擬似乱数で売買が逆の試行なので)ですが、ほぼ同じ。

勝率40%程度は、損小利大のトレンドフォロー戦略の典型例といえそう。平均損益比が大きい(平均:約1.49)ので結果として200回の試行では利益が出ています(総損益平均2400~2600円)。総損益はプラスになる回数のほうが多くなりました(総損益がプラスになる率=約86%)。

ランダムなエントリーだったとしても、エグジットルール次第で利益を残しやすいトレードを行うことが可能と言えるでしょう。

この理由については、相場をランダムウォークと仮定した時よりも、実際の値動きはトレンドが大きくなる(継続しやすい)傾向があるからだと考えます。つまりコイン投げでエントリーしていても、いずれトレンドに乗れるならば、その時に得られる利益のほうが、早めの損切りで蓄積される損失よりも大きいから利益が残しやすいということです(それでも負けになることもあるわけで、トレンドの発生した方向とエントリーの方向が合わなかった頻度が多かった時。しかしトータルで見れば期待値は高い)。

ところで、実際に売買コスト(手数料・スリッページ)を加味すれば、どうでしょうか。

スリッページ往復5円なら、730回 x 5円 = 3650円 がマイナスであり、手数料も加われば、平均総損益(2400~2600円)を上回るため、分が悪く、負けることのほうが多くなります。

コイン投げのエントリーだけでは、実売買では勝てないということになります。ではどうすればいいのかというと、支配的要因であるエントリーの精度を高めるという、当たり前の話になります。

物の本によれば、ランダムエントリーでもエグジット次第で100%の勝ちになるようなことが書いてあったのですが、本当かなと思ったところからこの検証をしてみました。予想よりも高く(86%)と、結果にちょっと驚きましたが、100%ではないのでむしろ自然な気がします。

トレンド発生時のトレードという観点から言えば、エントリーとエグジットは独立したものではないので、エントリーだけランダムにしてこのようなシミュレーションしても、実は評価は難しいところがあります。さらにエントリー時刻が一定、1日1回という今回のテスト方法も結果に歪みを与えているかもしれません。

他にもいくつか条件を変えてテストしたことがあるので、機会があればまた記事にしてみようと思います。

いずれにしても、今のシステムトレードのエグジットルールがそれなりにうまく機能してそうだということを、数値で把握することができたと思っています。

 


システムトレード実売買結果(12/17)

2009年12月17日(木)

●日経225ミニ

PC1: 10255L (SLP: 0円) → 10230C (SLP: 0円) -25円

PC2: 10260L (SLP: 5円) → 10230C (SLP: 0円) -30円

12月合計: +20円  (※PC1での集計)

前場上ブレイクでエントリーするも、すぐに損切りが発生しました。もう少しホールドしても良さそうなところかと思っていたら、前場引けにかけての下げを見ると正解だったかもしれません。後場どうなるかはわかりませんが。

ダマシに合った格好ですが、ここはチャート的に上ブレイクの形であり、エントリーしたいところです。

今日のストップをみて思ったこと。ボラティリティベースでストップを決めているロジックには、こういう事もある。浅いストップで結果的に損失が小さくて済んだことの方が多いとすれば、トータルではOKということ。しかし、ボラの計算でもEMAのように重み付けをするのも効果ありそう。

(11:00記)

 


システムトレード実売買結果(12/15)

2009年12月15日(火)

●日経225ミニ

本日売買なし ±0円

12月合計: +45円  (※PC1での集計)

上値が重いですね。昨日と同じです。

バージョンアップ版として検証中のモニタ版は買いエントリーがありました。

大引け前に損切りで-25円。12月合計ではまだバージョンアップ版の方が良い成績です。

 

さて、大証から久々のビッグニュースが飛び出しました。

・225先物&ミニ・オプションが取引時間延長(夕場は23:30まで)

・ラージの呼値が5円

これは良いニュースだと思います。まず夕場の取引が盛んになる。NY時間とも重なるため、ボラティリティの拡大が予想されます。

そして、ラージもいまより取引が活発になるでしょう。前場、後場、夕場それぞれの特徴も今とは変わってくるはずです。スリッページのため実質的には運用が難しかった自動売買も、ラージで運用することが現実的になってきます。

デイトレシステムも活躍時間が長くなるわけですから、戦略の幅が広がりそうですね。

まだ草案の段階のようですが今から待ち遠しいです。取引時間延長は来春メド。呼値縮小は来年6月14日(予定)。

http://www.ose.or.jp/frame.html?rules/pc/091215a.html

http://www.ose.or.jp/rules/pc/091215a.pdf

(18:15記)

 


裁量トレードからルールをつくる

2009年12月11日(金)

システムが出すサインを見ていると、裁量トレードの経験から、ここはエントリーするところではないだろうとか、逆にここはエントリーしてみるところだろうというのもあります。

もちろんそれが正しいかどうかは結果論になりますが、経験的にその時点でのエントリーが有利か不利かということはなんとなくわかる事があります。

そのようなポイントは、明確にルールとして要約できるものもあれば、感覚のようなものもあります。感覚をロジックに置き換えるのはプログラム等の技術も必要なのですが、仮にうまくロジックにできたとして、パフォーマンスが向上するかどうかは、やってみなければわかりません。

まぁたいていはパフォーマンスが悪化するか、使えないものとして捨てられます。

この人間のもつ感覚的なものについて、前から実装したいアイデアが一つありました。コードを書いてみると、予想以上にパフォーマンスが改善され、エントリーの精度が高まったのでちょっと驚きました。まぁPFでいえば微々たるものですが。

とても理にかなっているし、聞けば「そりゃそうだよね」とトレーダーなら誰しも思うようなことなのですが。レベルの高いシステムは、普通に実装しているのかもしれません。他のシステムをあまり研究したことがないので、自分としては大きな発見でした。早速現用のシステム売買に実装し、試していきます。

これも使っている方からのちょっとした一言がきっかけで改善に繋がりましたし、先日作ったモニター版もそうです。同じ利益や損失が出たとしても、その時のサインに「納得ができるかどうか」も運用していく上では重要なことかもしれませんね。もちろん納得の度合いは個人差があるでしょうし、トレードのスタイルによっても違うでしょう。

でも、一般的な感覚というものをルール化してく過程では、システムを運用している人との意見交換は大事だなと思っています。

 


システムトレード実売買結果(12/10)

2009年12月10日(木)

●日経225ミニ

本日のトレードなし ±0円

メジャーSQの関係か10000円の攻防の後、急落でした。後場から下落が続いたのですが、システムはこの動きをエントリーチャンスとみなさずに、売買なし。

開発中バージョンで、9900割れで売りエントリーしたものもありましたが+40円という利幅。裁量でスキャルなら狙いたいエントリーですが、5分足のシステム売買ではちょっとタイミングがあわないか。大引けにかけての乱高下を見ると、たまたまプラスだった感があります。

為替の方も、ユーロ円などを中心としたクロス円で下落傾向を示しており、大きなポジション調整が入ってきているような動きです。明日から来週にかけてゆっくりと進めばいいのですが、急に動いてピタッと止まる最近の相場です。どうなることやら。

(15:30記)

12月合計: -50円  (※PC1での集計)


自動売買のスリッページ2

2009年11月26日(木)

自動売買のスリッページの小話です。

検証も始め情報も増えてきたのでまとめておきます。

 

・PC性能はスリッページに関係がありそう(ハイスペックほど有利)

→ 低スペックのノートPCと比較した場合、おおむねハイスペックの方がスリッページが小さい

→ ハイスペックマシンを省電力CPUモードで動かした場合(固まっているような状態)、サイン発生が遅れた

→ 複数戦略・複数チャートを起動しているとレスポンスが低下するため不利になる

 

・インターネット回線は速い方が有利

→ 無線LANでの遅れもやや影響している様子

→ 遠隔地でも回線速いれば影響は少ない(沖縄でもスリッページは同じだった)

 

・ 自動売買のスリッページは5円以上(往復)を基準に考えるべき

→ これまで5円前後で推移。同じタイミングでサインが出るとスリップ増大。ブレイク系はエントリーがぶつかりやすいので、将来的には5円以上も想定すべきか。

 

その他

・エントリーでのスリップの方が大きくなる傾向がありそう

・ストップロス発生時は相場急変時がおおいのでスリップしやすいかも

・定刻での決済も同様(引け5分前決済を待たずに、手動決済も有効)

 

■検証用PCスペック

PC1: デスクトップ型 組立PC

OS: Windows 7 Professional (32bit版)

CPU: Intel i5-750 @ 2.67GHz

RAM: 4.0GB(実効3.5GB)

回線:光回線(集合住宅タイプ)

 

PC2: ノート型 DELL  Inspiron 1501

OS: Windows XP Professional  (32bit版)

CPU: AMD Turion64 Mobile 1.99GHz

RAM: 1.0GB

回線:家庭内無線LAN- 光回線(集合住宅タイプ)

 


自動売買のスリッページ

2009年11月11日(水)

小ネタを時々書いていきます。

複数台のPCを使って同じ戦略を走らせ、スリッページ検証しています。PCスペックよりも通信環境の方がスリッページに影響を与えやすいのではないかと思っています。

ひとつはシストレ専用デスクトップPCで最近購入したもので性能は申し分なし。もう一台はCelelonのDELL製ノートPCで無線LAN接続。スペックは推奨動作環境をほとんど満たしていません。

おなじ場所にあるPC。ノートは無線を挟んでいますが通信環境はマンションの光回線につながっているため、ほぼ同じ。

今のところ新規、決済とも発注タイミングの差は数秒程度です。しかも、スペック低い方が先に約定したりしています。

今度は、事務所と自宅、離れた場所でもこの差を検証してみます。

トレードスタジアムの自動売買は、仕様により成行注文しかできないので(厳密な意味での指値・逆指値注文は不可能)、往復でのスリッページ5円は、システム設計するうえで前提とする必要があります。

ユーザが多いシステムなら5円~10円となるはずです。よって小さい値幅を狙う戦略は、実売買では機能しにくいと言えそうです。

ところが値幅を狙うにせよ、今の相場の動きではきついということになりますね。デイトレシステムにとっては、売買回数を極力控えるのが最善の策でしょう。今の戦略もそのように対応していますが、運用していて面白くないというのもありますね。

まぁドローダウンを眺めるよりはずいぶんいいと思います。